『大造じいさんとガン』大造じいさんは、なぜ残雪を撃たなかったのか
▶ YouTubeで見る5分でわかる『大造じいさんとガン』|大造じいさんは、なぜ残雪を撃たなかったのか?椋鳩十の『大造じいさんとガン』は、猟師の大造じいさんと、ガンの頭領・残雪の物語です。
何年も残雪をねらい続けてきた大造じいさんは、ついに残雪を撃てる場面にめぐり合います。それなのに、銃を下ろしてしまいました。ずっと待っていたチャンスだったのに、なぜでしょうか。
若いころの思い出を語る物語

『大造じいさんとガン』は、「おじいさんとガンが戦うお話」と思われがちです。でも、お話をしている大造じいさんは七十二歳。残雪と知恵比べをしていたのは、三十五、六歳のころでした。
つまりこれは、大造じいさんが若いころに出会った一羽のガンについて語る、思い出の物語なのです。
腕のいい猟師と、賢い頭領・残雪

残雪は、ガンの群れを率いる、とても賢い頭領です。仲間がえさを食べているあいだも見張りをして、危険を感じるとすぐに群れを逃がしてしまいます。
腕のいい猟師だった大造じいさんも、残雪が来るようになってから、ガンをなかなか仕留められなくなりました。毎年いろいろな作戦を考えますが、残雪にはなかなか勝てません。
おとりのガンを使った作戦

そこで大造じいさんは、以前に捕まえて飼いならしていた一羽のガンを、おとりに使うことを思いつきます。仲間のガンを使って群れを引き寄せ、今度こそ残雪を仕留めようと考えたのです。
ハヤブサが現れた

ところが作戦の最中、思いもよらないことが起こります。一羽のハヤブサが現れたのです。
ガンたちは危険に気づいて、いっせいに飛び立ちました。けれども、一羽だけ逃げ遅れたガンがいました。大造じいさんが飼いならした、おとりのガンです。大造じいさんは口笛で呼び戻そうとしますが、ハヤブサがその行く手をさえぎります。
なぜ、銃を下ろしたのか

ハヤブサがおそいかかろうとしたそのとき、大きな影が空を横切りました。残雪です。大造じいさんはすぐに銃をかまえて、残雪をねらいます。
ところが、大造じいさんはなぜか、もう一度銃を下ろしてしまいました。残雪が、おとりのガンを助けるために、ハヤブサへ向かって飛びこんでいったからです。羽が飛び散るほどのはげしい戦いで、残雪も傷ついてしまいます。
その姿を見た大造じいさんは、強く心を打たれました。もう残雪のことを、ただの鳥だとは思えなくなったのです。仲間を守るために命がけで戦う残雪を、うしろから撃つことはできなかったのかもしれません。
傷ついた残雪の、その後

大造じいさんは、傷ついた残雪を家へ連れて帰り、元気になるまで世話をしました。でも、二人が仲良くなったわけではありません。
春になると、大造じいさんは残雪を空へ放します。そして残雪を「ガンの英雄」と呼び、今度はひきょうなやり方ではなく、堂々と戦おうと呼びかけるのです。
はじめは仕留めたいだけの相手だった残雪。最後には、力を認め、敬意をもって向き合いたい相手へと変わっていたのではないでしょうか。
考えてみたい問い
| 問い | 考える手がかり |
|---|---|
| 大造じいさんが残雪を撃たなかったのは、なぜだろう? | 銃を下ろす直前に、残雪が何をしていたか |
| 大造じいさんの残雪を見る目は、いつ、どう変わった? | 物語のはじめと終わりで、残雪をどう呼んでいるか |
| 「堂々と戦おう」とは、どんな戦い方のことだろう? | おとりを使った作戦や、傷ついた残雪をねらうことと比べる |
| 大造じいさんは、なぜ残雪を空へ放したのだろう? | 春になって、残雪にかけた言葉 |
← 読み深め