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『大造じいさんとガン』大造じいさんは、なぜ残雪を撃たなかったのか

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椋むく鳩はと十じゅうの『大造たいぞうじいさんとガン』は、猟師りょうしの大造たいぞうじいさんと、ガンの頭領とうりょう・残雪ざんせつの物語ものがたりです。

何なん年ねんも残雪ざんせつをねらい続つづけてきた大造たいぞうじいさんは、ついに残雪ざんせつを撃うてる場面ばめんにめぐり合あいます。それなのに、銃じゅうを下おろしてしまいました。ずっと待まっていたチャンスだったのに、なぜでしょうか。

若わかいころの思おもい出でを語かたる物語ものがたり

『大造たいぞうじいさんとガン』は、「おじいさんとガンが戦たたかうお話はなし」と思おもわれがちです。でも、お話はなしをしている大造たいぞうじいさんは七なな十じゅう二に歳さい。残雪ざんせつと知恵ちえ比くらべをしていたのは、三さん十じゅう五ご、六ろく歳さいのころでした。

つまりこれは、大造たいぞうじいさんが若わかいころに出会であった一いち羽わのガンについて語かたる、思おもい出での物語ものがたりなのです。

腕うでのいい猟師りょうしと、賢かしこい頭領とうりょう・残雪ざんせつ

残雪ざんせつは、ガンの群むれを率ひきいる、とても賢かしこい頭領とうりょうです。仲間なかまがえさを食たべているあいだも見張みはりをして、危険きけんを感かんじるとすぐに群むれを逃にがしてしまいます。

腕うでのいい猟師りょうしだった大造たいぞうじいさんも、残雪ざんせつが来くるようになってから、ガンをなかなか仕留しとめられなくなりました。毎年まいとしいろいろな作戦さくせんを考かんがえますが、残雪ざんせつにはなかなか勝かてません。

おとりのガンを使つかった作戦さくせん

そこで大造たいぞうじいさんは、以前いぜんに捕つかまえて飼かいならしていた一いち羽わのガンを、おとりに使つかうことを思おもいつきます。仲間なかまのガンを使つかって群むれを引ひき寄よせ、今度こんどこそ残雪ざんせつを仕留しとめようと考かんがえたのです。

ハヤブサが現あらわれた

ところが作戦さくせんの最中さいちゅう、思おもいもよらないことが起おこります。一いち羽わのハヤブサが現あらわれたのです。

ガンたちは危険きけんに気きづいて、いっせいに飛とび立たちました。けれども、一いち羽わだけ逃にげ遅おくれたガンがいました。大造たいぞうじいさんが飼かいならした、おとりのガンです。大造たいぞうじいさんは口笛くちぶえで呼よび戻もどそうとしますが、ハヤブサがその行ゆく手てをさえぎります。

なぜ、銃じゅうを下おろしたのか

ハヤブサがおそいかかろうとしたそのとき、大おおきな影かげが空そらを横切よこぎりました。残雪ざんせつです。大造たいぞうじいさんはすぐに銃じゅうをかまえて、残雪ざんせつをねらいます。

ところが、大造たいぞうじいさんはなぜか、もう一度いちど銃じゅうを下おろしてしまいました。残雪ざんせつが、おとりのガンを助たすけるために、ハヤブサへ向むかって飛とびこんでいったからです。羽はねが飛とび散ちるほどのはげしい戦たたかいで、残雪ざんせつも傷きずついてしまいます。

その姿すがたを見みた大造たいぞうじいさんは、強つよく心こころを打うたれました。もう残雪ざんせつのことを、ただの鳥とりだとは思おもえなくなったのです。仲間なかまを守まもるために命いのちがけで戦たたかう残雪ざんせつを、うしろから撃うつことはできなかったのかもしれません。

傷きずついた残雪ざんせつの、その後ご

大造たいぞうじいさんは、傷きずついた残雪ざんせつを家いえへ連つれて帰かえり、元気げんきになるまで世話せわをしました。でも、二人ふたりが仲良なかよくなったわけではありません。

春はるになると、大造たいぞうじいさんは残雪ざんせつを空そらへ放はなします。そして残雪ざんせつを「ガンの英雄えいゆう」と呼よび、今度こんどはひきょうなやり方かたではなく、堂々どうどうと戦たたかおうと呼よびかけるのです。

はじめは仕留しとめたいだけの相手あいてだった残雪ざんせつ。最後さいごには、力ちからを認みとめ、敬意けいいをもって向むき合あいたい相手あいてへと変かわっていたのではないでしょうか。

考かんがえてみたい問とい

問とい 考かんがえる手てがかり
大造たいぞうじいさんが残雪ざんせつを撃うたなかったのは、なぜだろう? 銃じゅうを下おろす直前ちょくぜんに、残雪ざんせつが何なにをしていたか
大造たいぞうじいさんの残雪ざんせつを見みる目めは、いつ、どう変かわった? 物語ものがたりのはじめと終おわりで、残雪ざんせつをどう呼よんでいるか
「堂々どうどうと戦たたかおう」とは、どんな戦たたかい方かたのことだろう? おとりを使つかった作戦さくせんや、傷きずついた残雪ざんせつをねらうことと比くらべる
大造たいぞうじいさんは、なぜ残雪ざんせつを空そらへ放はなしたのだろう? 春はるになって、残雪ざんせつにかけた言葉ことば

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