【小学1・2年生】読書感想文の書き方──「何を書けばいいの?」を解決する4ステップ
こんにちは。読書研究員のアオイです。
夏休みになると、研究室には毎年、同じ相談が届きます。
「アオイさん。うちの子が、読書感想文をまったく書けません。」
……実はですね。この相談、わたしは大好きなんです。
あっ、「書けないのが好き」という意味じゃありませんよ。どうしたら書けるようになるかを考えるのが好きなんです。研究者なので。
では、さっそく今日の研究テーマはこちらです。
低学年の読書感想文は、どう書けばいいの?
最後まで書けるようになるところまで、いっしょに研究していきましょう。
第一章 読書感想文って何を書くの?

まず、質問です。
読書感想文を読む人は、何を知りたいのでしょう?
本の内容でしょうか。もちろん、少しは知りたいかもしれません。でも、本の内容だけなら、あらすじを読めば分かります。
では、読書感想文を読む人は、何を楽しみに読んでいるのでしょう。
……実は、読んだ人の心なのです。
たとえば、こんなふうに『おおきなかぶ』の読書感想文を書いたとします。
おじいさんがかぶをぬきました。 おばあさんが来ました。 まごが来ました。 ねずみも来ました。 みんなでかぶをぬきました。
うん。物語はよく分かります。でも、感想文を書いた子が何を思ったのかは、分かりません。
では、こちらはどうでしょう。
わたしは、ねずみまで手伝ったところが、一番心にのこりました。 小さいねずみでも、みんなの役に立てたからです。 わたしも学校で、「わたしなんてできない」と思うことがあります。 でも、小さな力でも、役に立てることがあるんだと思いました。
今度は、読んだ子どもの心が見えてきますね。
読書感想文の主人公は、本ではありません。その本を読んだ子ども自身なんです。
第二章 心の中を研究してみよう

さて、ここからが今日の本番です。
「子どもの心を書きましょう」と言われても、低学年のお子さんには、ちょっと難しいですよね。
でも、安心してください。実は、心の中には、もう感想があります。 まだ、言葉になっていないだけなんです。
そのために使うのが……じゃーん、イメージマップです。
(研究室では「思考整理図」と呼んでいたのですが……その名前だと、急に難しく聞こえますね。今日はイメージマップでいきましょう。)

使い方は、とてもかんたんです。
真ん中に、一つだけ書きます。 たとえば「びっくりした」。これだけです。
そして、そこから質問を広げていきます。
- どうして、びっくりしたの? → ねずみまで手伝ったから。
- ちっちゃいねずみだから? → うん。
- 自分にも、似たことはあった? → 学校で重い荷物を持ったら、先生が「ありがとう」って言ってくれた。
- じゃあ、今はどんなことを思う? → 小さくても、役に立てる。
見てください。最初は「びっくりした」しかなかった感想が、こんなに広がりました。
真ん中の一言に「どうして?」と聞くだけで、まわりの丸が埋まっていきます。ここまで来たら、もう読書感想文の材料は、ほとんどできています。
第三章 自分の考えをみつけるために

……とはいえ、そんなに簡単にはいきませんよね。心を見つけるには、時間がかかることもあります。
ここで、一つだけお願いがあります。
お父さん、お母さんは、先生にならなくて大丈夫です。 正しい答えを教える必要もありません。
なってほしいのは、インタビュアーです。
聞くことは、たった四つ。
- どこがおもしろかった?
- どうして?
- 自分にもあった?
- 今はどう思う?
これだけです。あとは、子どもが話すのを待ってください。
じっとしている時間になるかもしれません。でも、その間も子どもは考え続けています。
もし、それでも出てこないときは、お父さん、お母さんの考えや思いを伝えてあげてください。 子どもは、それをヒントに自分の考えを見つけられます。
言葉が出てこない子には、こんな「心のヒント」を見せて、選ばせてあげるのもおすすめです。

「びっくりした」「うれしかった」「かなしかった」「ふしぎだった」——この中から一つ選ぶだけでも、それが感想文の入口になります。
第四章 文章にしてみよう

最後は、集めた材料を文章にしていきます。
でも、ここで急に「さあ、作文を書こう!」と言われると、また手が止まってしまいますよね。
大丈夫です。一度に全部書こうとしなくていいんです。 イメージマップに書いたことを、一つずつ文章に変えていきましょう。
順番は、この四つです。
- 心に残ったところ
- その時に思ったこと
- 自分の経験
- 今思うこと
では、一つずつ見てみますね。
① 心に残ったところ
イメージマップには「ねずみまで手伝ったところ」と書いてありました。これを、こう文章にします。
わたしは、ねずみまで手伝ったところが、いちばん心にのこりました。
② その時に思ったこと
小さなねずみも、みんなの役に立っていて、びっくりしました。
これで大丈夫です。難しい言葉に言いかえる必要はありません。子どもが話した言葉を、できるだけそのまま使ってください。
③ 自分の経験
わたしも学校で、重い荷物を持ったことがあります。そのとき、先生が「ありがとう」と言ってくれました。
物語の話から、自分の話へ移りましたね。
④ 今思うこと
そのことを思い出して、小さなわたしにも、できることがあるのだと思いました。
これで、四つの文章ができました。順番につないで読んでみましょう。
わたしは、ねずみまで手伝ったところが、いちばん心にのこりました。 小さなねずみも、みんなの役に立っていて、びっくりしました。 わたしも学校で、重い荷物を持ったことがあります。そのとき、先生が「ありがとう」と言ってくれました。 そのことを思い出して、小さなわたしにも、できることがあるのだと思いました。
どうでしょう。イメージマップを一つずつ文章にしただけですが、ちゃんと読書感想文になっています。
低学年では、最初から長い文章を書こうとしなくて大丈夫です。一つの丸から、一つの文を作る。 書けたら、次の丸へ進む。そのくり返しです。
途中で言葉が出なくなったら、「さっき、どう言っていたっけ?」と聞いてみてください。話せても、書くときに言葉が出てこない子もいます。そんなときは、お子さんが話した言葉を、おうちの方がメモしてあげても大丈夫です。
ただし、大人のきれいな文章に直しすぎないこと。少しくらい同じ言葉が続いても、短い文が並んでも、その子が自分で思ったことなら、それがその子の読書感想文です。
おわりに
最後に、今日の研究結果をまとめます。
読書感想文は、本を説明する文章ではありません。本を読んで、心がどう動いたのかを書く文章です。
だから、
「おもしろかった」 「かなしかった」 「びっくりした」
そんな一言を、大切にしてください。それは、まだ短い感想ではありません。読書感想文のたねです。
そのたねに、「どうして?」「自分もある?」という水をあげると、少しずつ、その子だけの読書感想文が育っていきます。
おわか文庫では、教科書や児童文学を、子どもにも分かる言葉で、そして大人にも深く届くように読み解いています。
物語を、もう一度好きになる。そして、次の一冊へ。
今日もいっしょに研究してくださって、ありがとうございました。それでは、また次の記事でお会いしましょう。
← 文庫だより