【小学3・4年生】読書感想文の書き方──登場人物の心を読み、自分の心と比べる
こんにちは。読書研究員のアオイです。
夏休みになると、研究室には、こんな相談が届きます。
「アオイさん。心に残った場面は、見つけられました。でも、そこから何を書けばいいのか、分かりません。」
「おもしろかったです。」「すごいと思いました。」——ここまでは書けても、その続きが、なかなか出てこないことがありますよね。
中学年では、心に残った場面を見つけたあと、登場人物の気持ちに目を向けます。 登場人物は、そのとき、どんな気持ちだったのでしょう。そして、その気持ちと自分の気持ちを比べると、自分にしか書けない感想が見つかります。
低学年の読書感想文では、自分の心が動いたところと、自分の経験をつなげました。中学年では、そこから一歩進んで、登場人物の心を読み、自分の心と比べていきます。
ということで、今日の研究テーマはこちらです。
中学年の読書感想文は、どう書けばいいの?
今回は、『はだかの王さま』を使って、読書感想文を最後まで書く方法を、一緒に研究していきましょう。
第一章 一人の登場人物に注目しよう

『はだかの王さま』は、新しい服が大好きな王様のお話です。
ある日、王様のところへ、二人の男がやって来ます。二人は「愚かな人には見えない、特別な服を作ることができます」と言いました。もちろん、そんな服はありません。二人は、何もないところで、服を作っているふりをしていたのです。
ところが、王様にも家来たちにも、服が見えません。それでも、みんな「すばらしい服です」と言いました。そして王様は、見えない服を着ているふりをして、町の中を歩き始めます。
この物語には、王様や家来、町の人、子どもなど、いろいろな登場人物が出てきます。今回は、その中から王様の気持ちに注目します。
王様には、服が見えていません。それなのに、「私には見えない」とは言いませんでした。どうしてでしょう。
- 愚かな王様だと、思われたくなかったのでしょうか。
- 家来たちの前で、恥ずかしい思いをしたくなかったのでしょうか。
- それとも、周りがみんな服をほめていたので、自分だけ見えないとは言えなくなったのでしょうか。
物語には、「王様は、愚かだと思われるのがこわかった」とは、はっきり書かれていません。けれども、王様が言ったことや、したことを読むと、その奥にある気持ちを考えることができます。
中学年の読書感想文では、登場人物の行動だけを見るのではなく、**「なぜ、この人はこんなことをしたのだろう」**と、心の中まで考えていきます。
第二章 言葉や行動を手がかりにしよう

登場人物の気持ちは、何となく想像するだけでは、なかなか見つかりません。そこで、物語に書かれている言葉や行動を手がかりにします。
今回、王様の気持ちを考える手がかりは、主に三つあります。
- 王様にも、服が見えなかった
- 見えないのに、そのことを誰にも言わなかった
- 何も着ていないまま、服を着ているふりをして町を歩いた
この三つをつなげて考えてみます。
王様は、最初に服が見えなかったとき、驚いたかもしれません。けれども「見えないと言ったら、自分が愚かな王様だと思われる」と考えて、本当のことを言えなかったのではないでしょうか。そのあと、家来たちも服をほめたので、ますます見えないとは言いにくくなったのかもしれません。そして最後には、町の中を歩くところまで進んでしまいました。
王様は、歩きながら、どんな気持ちだったのでしょう。本当に立派な服を着ていると思い込んでいたのでしょうか。それとも、だまされているかもしれないと感じながら、今さらやめられないと思っていたのでしょうか。
王様の言葉や行動を順番に見ていくと、服をほめたときの気持ちだけでなく、町を歩いているときの気持ちまで、想像できるようになります。
「どこから、そう思ったの?」を書いておく
登場人物の気持ちを考えたら、**「どの言葉や行動から、そう思ったの?」**と、自分に聞いてみてください。
たとえば「王様は、愚かな人だと思われるのがこわかったのだと思う」と考えたなら、「服が見えなかったのに、見えないとは言わなかったから」と、その手がかりも一緒に書いておきます。
| 中心人物 | 王様 |
|---|---|
| 言葉や行動 | 服が見えないのに、見えるふりをした |
| 気持ち | 愚かな王様だと思われるのがこわかった |
| 手がかり | 見えないとは言わず、服をほめた |
気持ちと、その手がかりを一緒に見つける。そうすると、自分がなぜそう考えたのかが、読む人にも伝わりやすくなります。
第三章 登場人物の心と自分の心を比べよう

王様の気持ちが見えてきたら、今度は、自分の心と比べてみます。そのときに使うのが「心くらべメモ」です。

まず、王様の心を書きます。
王様は、愚かな人だと思われるのがこわくて、服が見えないと言えなかった。
次に、自分にも似た気持ちがなかったかを考えます。
私も、自分だけ答えが違ったとき、間違っていると思われるのがこわくて、発表できなかったことがある。
こうして並べると、王様と自分の似ているところが見つかります。
もちろん、違うところが見つかることもあります。
私は、王様の気持ちは少し分かるけれど、町を歩く前には、本当のことを言いたいと思う。
このように、登場人物と同じか、違うかを考えると、自分の考えが少しずつ見えてきます。
保護者の方へ
お子さんが、登場人物の気持ちをうまく言えないとき、大人が正しい答えを教える必要はありません。読書感想文では、大人が先生になるよりも、子どもの考えを引き出すインタビュアーになる方が、うまくいきます。
たとえば、こんなふうに聞いてみてください。
- 「王様は、どんな気持ちだったと思う?」
- 「どの言葉や行動から、そう思った?」
- 「自分にも、似た気持ちになったことはある?」
- 「王様と自分を比べて、どんなことを考えた?」
「分からない」と答えたときは、すぐに答えを教えず、その場面を一緒に読み直してみてください。「王様は、何と言っていたかな」「本当は、服が見えていたのかな」「そのあと、王様は何をしたかな」——言葉や行動を一つずつ確かめると、そこから気持ちを考えやすくなります。
大人の考えを伝えるときも、「王様は、こわかったに決まっているよ」と決めるのではなく、**「私は、こわかったのかなと思ったよ。あなたはどう思う?」**と伝えてみてください。おうちの方と違う考えでも、物語の言葉や行動を手がかりにしていれば、その子らしい読み方になります。
第四章 文章にしてみよう

王様の気持ちと、自分の心を比べられたら、集めた材料を文章にしていきます。中学年の読書感想文は、次の四つの順番で書くと、まとめやすくなります。
- 心に残った場面
- 王様の気持ちと、その手がかり
- 自分の心や経験との比べ
- 比べて考えたこと
では、一つずつ見てみます。
① 心に残った場面
私は、王様が服を着ていないのに、立派な服を着ているふりをして、町を歩いたところが、一番心に残りました。
② 王様の気持ちと、その手がかり
王様には、本当は服が見えていませんでした。それでも、見えないと言ったら、愚かな王様だと思われるのがこわくて、服をほめたのだと思います。
気持ちだけでなく、「服が見えなかったのに、ほめた」という行動も書けています。
③ 自分の心や経験との比べ
私も授業で、自分の答えが、みんなと違ったことがあります。間違っていると思われるのが恥ずかしくて、手を挙げることができませんでした。だから、本当のことを言えなかった王様の気持ちは、少し分かります。
④ 比べて考えたこと
けれども王様は、本当のことを言えないまま、町を歩くところまで進んでしまいました。私は、本当のことをかくし続けると、あとになるほど、言い出しにくくなるのだと思いました。これからは、周りと違っていても、自分が考えたことを、少しずつ言えるようになりたいです。
これで、四つの材料がそろいました。つなげて読んでみましょう。
私は、王様が服を着ていないのに、立派な服を着ているふりをして、町を歩いたところが、一番心に残りました。
王様には、本当は服が見えていませんでした。それでも、見えないと言ったら、愚かな王様だと思われるのがこわくて、服をほめたのだと思います。
私も授業で、自分の答えが、みんなと違ったことがあります。間違っていると思われるのが恥ずかしくて、手を挙げることができませんでした。だから、本当のことを言えなかった王様の気持ちは、少し分かります。
けれども王様は、本当のことを言えないまま、町を歩くところまで進んでしまいました。私は、本当のことをかくし続けると、あとになるほど、言い出しにくくなるのだと思いました。これからは、周りと違っていても、自分が考えたことを、少しずつ言えるようになりたいです。
どうでしょう。心に残った場面を説明するだけでなく、王様の気持ちを考え、自分の心と比べたことで、その子にしか書けない読書感想文になりました。
中学年では、物語の全部について書こうとしなくても大丈夫です。心に残った場面を一つ選び、その場面で、中心となる登場人物がどんな気持ちだったのかを考えます。
書くことが分からなくなったら、心くらべメモへ戻ってみてください。王様は何を言ったのか。何をしたのか。そのとき、どんな気持ちだったのか。自分にも、似た気持ちはなかったか。一つずつ確かめると、次に書くことが見えてきます。
おわりに

最後に、今日の研究結果をまとめます。
低学年の読書感想文では、自分の心が動いたところと、自分の経験をつなげました。中学年では、そこから一歩進んで、中心となる登場人物の気持ちを考えます。
登場人物が、何を言い、何をしたのか。物語の言葉や行動を手がかりにして、心の中を読んでいきます。そして、登場人物の心と、自分の心を比べます。同じ気持ちが見つかっても、違う気持ちが見つかっても大丈夫です。比べたところから、自分にしか書けない考えが生まれます。
中学年の読書感想文では、登場人物の心を読み、自分の心と比べることを、大切にしてください。
もし「自分の気持ちが、なかなか見つからない」「自分の経験と、どうつなげればいいのか分からない」というときは、【小学1・2年生】読書感想文の書き方もあわせてどうぞ。心に残ったところから、自分の気持ちや経験を見つける方法を、くわしく紹介しています。中学年のお子さんが読んでも、もちろん大丈夫です。
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物語を、もう一度好きになる。そして、次の一冊へ。
今日も一緒に研究してくださって、ありがとうございました。それでは、また次の記事でお会いしましょう。
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