【小学5・6年生】読書感想文の書き方──物語の「つながり」から、自分の考えを深める
▶ YouTubeで見る【小学5・6年生】読書感想文の書き方|「感動しました」で終わらない!読書感想文を書いていて、こんなところで止まったことはありませんか。
考えたことはいくつもあったはずなのに、いざ文章にすると、
「感動しました。」 「大切だと思いました。」
の一行で終わってしまう——そんな経験はないでしょうか。
考えが浅いわけではありません。むしろ逆で、心の中にあるものを、まだうまく取り出せていないだけのことが多いのです。
高学年の読書感想文で鍵になるのは、一つの場面だけを見ることではなく、物語の中や外にある「つながり」を見つけることです。人物と人物のつながり、物語の初めと終わりのつながり、そして自分の経験とのつながり。そうしたつながりを見つけると、「読む前はこう考えていた。でも今はこう考えている」という、自分の心の動きが書きやすくなります。
低学年では、心に残った場面から自分の心や経験を見つけました。中学年では、登場人物の心を読み、自分の心と比べました。そして高学年では、物語の中や外にあるものをつなげて、自分の考えを深めていきます。
今回は、佐野洋子さんの『100万回生きたねこ』を例に、本を手に取った理由から、読み終えたあとの自分までを、一つの読書感想文にする方法をたどっていきましょう。
第一章 なぜ、この本を手に取ったのか

「どの場面が心に残った?」——読書感想文というと、つい真っ先にそこから考えたくなります。
けれどその前に、思い出しておきたいことがあります。**「なぜ、この本を読もうと思ったのか」**です。
題名が気になった。表紙の絵にひかれた。家族や友達にすすめられた。昔読んだことがあって、もう一度読みたくなった。理由は人それぞれでかまいません。
たとえば『100万回生きたねこ』という題名を見て、「何度も生きられるなんてすごい」「100万回も生きたねこは、どんな気持ちなのだろう」と思って手に取ったとします。
ここで大切なのは、本を選んだ理由だけではありません。読む前の自分が、どんなことを考えていたかも一緒に書き留めておくことです。
私は、何度でも生きられるなら、失敗してもやり直せるので、幸せだと思っていました。
これは、まだ本を読む前の考えにすぎません。この考えが、読み終えたあとにそのまま残ることもあれば、少し変わることもあります。まったく違う考えになることもあるでしょう。読む前の自分を書き残しておくと、読んだあとに自分の心がどう動いたのかを、あとから見つけやすくなります。
第二章 自分の心を動かした「つながり」を見つける

次に探すのは、本を読んでいて「気になった」「少し立ち止まった」「前に考えていたことと、何か違う」と感じた場所です。
ただし、心に残った場面を一つだけ選んで終わりにしないでください。その場面と、別の何かとのつながりを考えてみましょう。
人物と人物のつながり
『100万回生きたねこ』のねこは、何度も生まれ変わり、そのたびにいろいろな飼い主から大切にされます。けれども最後の一生で、白いねこと出会ってからは、それまでとは違う生き方をします。
ここで、ねこと白いねこのつながりに注目できます。
白いねこと出会う前、ねこが一番大切にしていたのは自分でした。けれども白いねこと過ごすうちに、ねこは自分以外の相手を大切にするようになります。人物と人物をつなげて読むと、「白いねことの出会いが、ねこの考え方を変えたのかもしれない」と考えられます。
物語の初めと終わりのつながり
物語の初めでは、ねこは何度も生まれ変わります。けれども白いねこと過ごした最後の一生のあと、ねこはもう生まれ変わりません。
この初めと終わりをつなげると、こんな問いが生まれます。
何度も生きることと、一度の生を大切に生きることでは、何が違うのだろう。
高学年では、物語のすべてを詳しく説明しなくてかまいません。人物と人物、物語の初めと終わり、くり返される言葉——自分の心を一番動かしたつながりを一つ選び、「このつながりを見つけて、自分は何を考えたのか」をメモしておきましょう。
| 見つけたつながり | そこから考えたこと |
|---|---|
| ねこは、白いねこと出会って、初めて自分以外の相手を大切にした。 | 何度も生きられることよりも、大切な人と過ごせることの方が、幸せなのかもしれないと思った。 |
物語の説明は、自分の考えを伝えるために必要な分だけで十分です。
第三章 読む前と読んだ後の自分を比べる

物語のつながりを見つけたら、読む前の自分と、読み終えたあとの自分を比べてみましょう。そのときに使うのが「心の変化メモ」です。

まず、読む前の考えを書きます。
何度でも生きられたら、失敗してもやり直せるから、幸せだと思っていた。
次に、心を動かしたつながりを書きます。
ねこは、白いねこと出会って、初めて自分以外の相手を大切にした。
最後に、読んだ後の考えを書きます。
何度も生きることより、大切な人と過ごし、その人を大切にして生きることも幸せなのかもしれないと思うようになった。
三つを並べると、本を読んだことで自分の考えがどう動いたのかが見えやすくなります。
ただし、考えが大きく変わるとは限りません。読む前に考えていたことが、本を読んでもっとはっきりすることもあります。
前から、人を大切にしたいと思っていた。この本を読んで、大切にするとは、相手から何かをしてもらうことではなく、自分から思うことなのかもしれないと考えた。
もともとの考えが、広がったり深まったりする——それも立派な変化です。
自分の経験とつなげると、さらに考えやすくなることもあります。
私は、家族にしてもらうことを当たり前に感じていたことがある。けれども、自分から家族のために何かをしたとき、相手が喜んでくれたことが、自分もうれしかった。
この経験と、ねこと白いねこの関わりをつなげれば、「誰かを大切にすることは、自分の心も変えるのかもしれない」と考えを広げられます。ほかの作品や、実際に見聞きした出来事とつなげてもかまいません。大切なのは、つなげた話を詳しく説明することではなく、比べたことで自分は何を考えたのかを書くことです。
第四章 自分の変化が伝わる順番で書く

ここまでで、読書感想文に使う材料がそろいました。高学年の読書感想文は、次の順番で書くと、自分の心の動きが伝わりやすくなります。
- この本を選んだ理由
- 読む前に考えていたこと
- 心を動かしたつながり
- 自分の経験や知っていること
- 読み終えて考えたこと
一つずつ、文章にしてみましょう。
① この本を選んだ理由
私は、『100万回生きたねこ』という題名を見て、何度も生きられるねこはどんな気持ちなのだろうと思い、この本を読みました。
② 読む前に考えていたこと
私は、何度でも生きられるなら、失敗してもやり直せるので、幸せだと思っていました。
③ 心を動かしたつながり
けれども、ねこは何度生まれ変わっても、幸せそうには見えませんでした。白いねこと出会った最後の一生で、ねこは初めて、自分以外の相手を大切にします。私は、白いねことの関わりが、ねこの生き方を変えたのだと思いました。
ここでは、物語の内容をすべて説明していません。自分の考えを動かしたところだけを、簡潔に書いています。
④ 自分の経験や知っていること
私も、家族に何かをしてもらうことを当たり前だと思っていたことがあります。でも、自分から家族の手伝いをしたとき、喜んでもらえたことが、自分もうれしく感じられました。
⑤ 読み終えて考えたこと
この本を読む前は、何度も生きられることが幸せだと思っていました。けれども今は、長く生きることだけではなく、大切な人と過ごし、自分からその人を大切にすることも、幸せなのかもしれないと思っています。
これで五つの材料がそろいました。つなげて読んでみましょう。
私は、『100万回生きたねこ』という題名を見て、何度も生きられるねこはどんな気持ちなのだろうと思い、この本を読みました。
私は、何度でも生きられるなら、失敗してもやり直せるので、幸せだと思っていました。
けれども、ねこは何度生まれ変わっても、幸せそうには見えませんでした。白いねこと出会った最後の一生で、ねこは初めて、自分以外の相手を大切にします。私は、白いねことの関わりが、ねこの生き方を変えたのだと思いました。
私も、家族に何かをしてもらうことを当たり前だと思っていたことがあります。でも、自分から家族の手伝いをしたとき、喜んでもらえたことが、自分もうれしく感じられました。
この本を読む前は、何度も生きられることが幸せだと思っていました。けれども今は、長く生きることだけではなく、大切な人と過ごし、自分からその人を大切にすることも、幸せなのかもしれないと思っています。
物語の意味を説明するだけの文章ではありません。なぜこの本を手に取ったのか。読む前は何を考えていたのか。どのつながりが心を動かしたのか。読み終えた今、何を考えているのか。本と出会ったことで、自分の心がどう動いたのかが伝わる文章になりました。
すべてを同じ長さで書く必要はありません。人物どうしのつながりが心に残ったなら、そこを少し詳しく書く。自分の経験と重なったなら、そのときの気持ちを書く。読み終えたあとの考えを一番伝えたいなら、最後を丁寧に書く。自分が一番伝えたいところに、少し多く言葉を使ってみてください。
まとめ

低学年の読書感想文では、心に残ったところから自分の心や経験を見つけました。中学年では、登場人物の心を読み、自分の心と比べました。そして高学年では、人物と人物、物語の初めと終わり、気になる言葉と別の場面——物語の中や外にあるつながりを見つけて、自分の考えを深めていきます。
本を読む前は、どんなことを考えていたのか。本の中の何が、自分の心を動かしたのか。読み終えた今、どんなことを考えているのか。この三つをつなげると、本を読んだ自分の心が見えやすくなります。
読書感想文の主人公は、本だけではありません。その本と出会い、考え、少し心を動かされた、自分自身です。
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