2026年 中学校の部の課題図書3冊──自分に合う一冊の選び方
▶ YouTubeで見る【中学生向け】2026年 読書感想文コンクール課題図書3冊を紹介2026年、中学校の部の課題図書はこの3冊です。
- 落合由佳『君の火がゆらめいている』
- 『チーム・テスならだいじょうぶ』
- 伊藤元雄『リュウグウの砂に挑む』
3冊は、内容も長さも大きく違います。どの本がいちばん簡単かではなく、自分が何について考えたいかをもとに選んでみてください。
1. 『君の火がゆらめいている』

主人公の葉澄には、発達障害のある双子の姉、菜々実がいます。葉澄は姉を大切に思い、通院や送り迎えを手伝っていますが、友達と遊びたい日も、自分のことを優先してほしい日もあります。
姉を大切にしたい気持ちと、自分の人生も大切にしたい気持ち。 その間で揺れる葉澄の姿が描かれています。
葉澄はやがて、障害のある兄弟や姉妹をもつ人が集まる「きょうだい会」に参加します。そこで自分と似た気持ちをもつ人と出会い、これまで言えなかった思いを、少しずつ言葉にしていきます。
感想文の中心になる問い
家族を助けるとは、どういうことなのか
家族だから、我慢するのは当たり前なのでしょうか。誰かを大切にするためには、自分を後回しにしなければならないのでしょうか。
葉澄は姉を嫌っているわけではありません。大切だからこそ、苦しい。 この二つの気持ちが同時に存在することが、物語の大切なところです。
書き方のヒント
私はこれまで、家族を助けることは当たり前だと思っていました。けれど、葉澄の姿を読んで、助けている人自身にも支えが必要なのだと気づきました。
このように、読む前と読んだあとの考えを比べると、深く書くことができます。題名の「火」が、その人の夢や、自分らしさを表しているのではないかと考えるのもよいでしょう。
どんな人に向いているか
家族との関係や、我慢すること、自分の将来について考えたい人に向いている一冊です。
2. 『チーム・テスならだいじょうぶ』

主人公は、中学二年生のテスです。転校したテスは、得意な焼き菓子をきっかけに新しい友達をつくり、焼き菓子のコンテストに挑戦します。仲間たちは、テスを応援する「チーム・テス」をつくりました。
けれどテスには、周りに隠していることがあります。何度も起こる、激しい腹痛です。やがてテスは、長く付き合っていく必要のある病気、クローン病だと診断されます。
この作品は、病気に負けずに頑張ればすべてが元通りになる、という物語ではありません。 病気があっても、その人のすべてが病気だけで決まるわけではない。一人で抱え込まず、人の力を借りながら生きていく。そのことが描かれています。
感想文の中心になる問い
本当の強さとは、何なのか
テスはなぜ、腹痛を周りに言えなかったのでしょうか。心配をかけたくなかったから。弱い人だと思われたくなかったから。これまで通りの自分でいたかったから。
私たちも、苦しいのに「大丈夫」と言ってしまうことがあります。本当の強さとは、一人で我慢し続けることでしょうか。それとも、誰かに助けを求められることでしょうか。
書き方のヒント
私は、一人で頑張れる人が強い人だと思っていました。けれどテスを読んで、自分の苦しさを伝えられることも、一つの強さなのだと思いました。
このように、自分が考えていた「強さ」と比べることができます。題名の「だいじょうぶ」は、何も問題が起こらないという意味ではありません。不安や病気があっても、一人ではないから進んでいける。その意味での「だいじょうぶ」なのかもしれません。
どんな人に向いているか
3冊の中では最も長い本ですが、友達づくりやお菓子作りなど、中学生が入り込みやすい場面が多くあります。友情やチーム、人に頼ることについて考えたい人に向いています。
3. 『リュウグウの砂に挑む』

この本は物語ではありません。小惑星探査機はやぶさ2が、小惑星リュウグウから持ち帰った砂を、研究者たちが分析する姿を描いた科学ノンフィクションです。研究者たちは、その砂から地球の水や生命の材料がどこから来たのかを探ります。
この本で注目したいのは、宇宙の知識だけではありません。研究者たちが、どのように挑戦したのかです。
リュウグウの砂は、やり直しのきかない貴重な試料です。そのため研究者たちは、何度も練習し、起こりそうな失敗を考え、準備を重ねました。また、大発見は一人の天才だけによって生まれるわけではありません。異なる専門をもつ人たちが集まり、知識を持ち寄ることで、少しずつ謎を明らかにしていきます。
この本は宇宙の本であると同時に、失敗や準備、チームで学ぶことについての本でもあります。
感想文の中心になる問い
失敗との向き合い方
部活動や委員会、グループ学習など、誰かと協力した経験につなげてみてください。
書き方のヒント
私は、失敗しない人が優れた人だと思っていました。けれど研究者たちは、失敗の可能性を考え、そこから次の方法を準備していました。
このように、自分の失敗に対する考えと比べることもできます。
⚠️ こう書くと、もったいない
「宇宙はすごいと思いました」「はやぶさ2に驚きました」
これだけでは、感想文が広がりません。研究者の姿を読んで、自分の考えがどう変わったのかを書くことが大切です。
どんな人に向いているか
3冊の中では最も短く、文章も比較的読みやすい本です。宇宙や科学、実験やものづくり、チームでの挑戦に興味がある人に向いています。
どの本を選ぶ?

| こんな人には | この本 |
|---|---|
| 家族との関係や、自分の将来について考えたい | 君の火がゆらめいている |
| 友情や、助けを求めることについて考えたい | チーム・テスならだいじょうぶ |
| 科学や失敗、チームで挑戦することについて考えたい | リュウグウの砂に挑む |
ページ数が最も少ないのは『リュウグウの砂に挑む』、最も長いのは『チーム・テスならだいじょうぶ』です。けれど、短い本だから感想文が簡単とは限りません。長い本でも、自分の興味に合っていれば、楽しく読むことができます。
3冊に共通しているのは、一人だけで抱え込まないことです。
葉澄は、同じ立場の人と出会います。テスは、友達や医療に関わる人とつながります。研究者たちは、異なる専門をもつ仲間と協力します。一人で耐え続けることだけが、強さではありません。人に相談すること。助けを求めること。違う力をもつ人と協力すること。3冊はそれぞれ違う方法で、その大切さを描いています。
読み終わったあとに聞く、3つの質問
読書感想文で大切なのは、本の内容をまとめることではありません。心に残った場面を通して、自分の考えがどう変わったのかを書くことです。
| 質問 | 引き出せるもの |
|---|---|
| 「読む前の自分は、どう考えていた?」 | 読む前の考え |
| 「なぜ、その場面が心に残った?」 | 心が動いた理由 |
| 「本を読んだあと、どのように考えるようになった?」 | 読んだあとの変化 |
自分の心が、いちばん大きく動きそうな本を選んでみてください。
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