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『ごんぎつね』最後の「青い煙」は何を意味する?──二通りの読み方と、子どもへの聞き方

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『ごんぎつね』は、こうわります。

兵十ひょうじゅう火縄銃ひなわじゅうをばたりととしました。あおけむりが、まだ筒口つつぐちからほそていました。

なぜ、最後さいご一行いっこうが「あおけむり」なのでしょうか。

「ごんがんでかなしい」でわってしまうと、この一行いっこう意味いみちゅういたままです。けれどここには、まったくちがふたつのかたができます。

この記事きじでは、そのとおりを紹介しょうかいしたあと、どもにどういてみるかまで一緒いっしょかんがえます。宿題しゅくだいかれてこまっているほうにも、授業じゅぎょうくちさがしているほうにも、なにかしらかえってもらえたらうれしいです。


この物語ものがたりは、最初さいしょから「いろ」でかたられている

あおけむりはなしはいまえに、ひとつづいておきたいことがあります。

『ごんぎつね』には、いろがとてもおおてきます。

くろしろ

兵十ひょうじゅうているのは、ぼろぼろのくろ着物きものです。ところが葬式そうしき場面ばめんでは、しろかみしもをています。

くろしろは、そのまま「きること」と「ぬこと」のあいだにかれたいろとしてめます。

弥助やすけおくさんのおはぐろてきます。これもむかしは、死者ししゃ見送みおく立場たちばひとのしるしでした。

あか

あか井戸いど彼岸花ひがんばな兵十ひょうじゅうほっぺ。

あかは、いのちのいろです。同時どうじに、いろでもあります。きるちからと、ちかさを、ひとつのいろ同時どうじせてくる。

こうしてならべてみると、この物語ものがたり最初さいしょから気配けはいつつまれていたことがかります。

そのうえで、最後さいごてくるのが「あお」なのです。


かたその1:たましい見送みおくいろ

あおは、しずかで、つめたいいろです。

線香せんこうけむりおもかべてください。ほそく、まっすぐ、しずかにちのぼっていく。あおけむりは、たましい見送みおくいろとしてむことができます。

このかたをすると、最後さいご一行いっこうはこうなります。

ごんはんだ。そのたましいが、いまちのぼっていく。

あかしろくろが「わり」をげていたのにたいして、あお最後さいごにそっとかれる。しずかな鎮魂ちんこん場面ばめんとして、物語ものがたりじられるわけです。


かたその2:きつねあお

ところが、あおにはもうひとつのかおがあります。

「きつね」のいろです。

もりで、ふっとひかあおむかしひとは、あれをて「きつねのたましいがよみがえった」といました。

このかたをすると、おな一行いっこうがまるでちがってえてきます。

ごんのいのちてんにのぼり、またどこかでまれかわった。

ごんは、んでわったのではなく、姿すがたえてつづいていく。

あかしろくろも「おわり」のいろでした。けれどあおだけが、「つづき」をかんじさせるいろなのです。


どちらが正解せいかいなのか

どちらもちます。そして、める必要ひつようはありません。

新美南吉にいみなんきちが「こちらのつもりでいた」とのこしているわけではありません。とおりにめるようにかれている、とかんがえるほうが自然しぜんです。

ここが、どもとはなすときのいちばんのどころだとおもいます。こたえがひとつではない場所ばしょ」にえるのは、そうおおくありません。


もうひとつの「つづほう

じつは、ごんがつづけるみちは、もうひとつあります。

この『ごんぎつね』という物語ものがたりそのものが、兵十ひょうじゅうかたりかもしれない、というかたです。

おもしてください。物語ものがたり冒頭ぼうとうには、こうかれています。

むかし、おじいさんからいたおはなしです。

つまり、だれかがかたいできたはなしなのです。

では、最初さいしょかたったのはだれでしょうか。ごんがんだ場面ばめんっているのは、兵十ひょうじゅうだけです。

兵十ひょうじゅうは、ごんがなぜくり松たけまつたけとどけてくれたのかをかんがえて、想像そうぞうして、かたったのかもしれません。「ごんは、こんな気持きもちだったんじゃないか」と。

だとすれば、ごんは物語ものがたりのなかでつづけていることになります。わたしたちがむたびに。


この物語ものがたりは「おもいこみ」の物語ものがたりでもある

いま「兵十ひょうじゅう想像そうぞうかもしれない」ときました。じつはこれ、物語ものがたり全体ぜんたいながれているテーマとつながっています。

ごんも、おもいこみでうごいているのです。

ごんは、うなぎをぬすんだせいで兵十ひょうじゅう母親ははおやべられなかった、とおもいこみます。けれど本文ほんぶんをよくむと、母親ははおやがうなぎをべたがっていた場面ばめんは、どこにもかれていません。 ごんがそうかんじただけです。

いわしの場面ばめんおなじです。兵十ひょうじゅうが「いわしのやつにひどいにあわされた」とうのをいて、ごんは「ぶんなぐられたにちがいない」とおもいます。けれど本文ほんぶんにあるのは、兵十ひょうじゅうのほっぺのかすりきずだけ。

ごんは、兵十ひょうじゅうなにきたのかを、自分じぶんなか物語ものがたりにしてしまっている。

そして兵十ひょうじゅうのほうも、ごんを「ぬすっと」だとおもいこんでいました。

ふたりとも、おもいこみで相手あいてていた。**おもいこみでつながり、おもいこみではなれていく。**それがこの物語ものがたりのかたちです。

けれど、そのおもいこみはつめたいものではありません。ごんはずっと、兵十ひょうじゅう心配しんぱいしていたのです。おもいこみのなかにも、やさしさはある。


どもとはなすときのいかけ

んだあとに、こんなふうにいてみてください。正解せいかい用意よういしなくて大丈夫だいじょうぶです。

いかけ ねらい
最後さいごあおけむり、どんなかんじがした?」 印象いんしょうからはいる。こたえやすい
「あのけむり、ごんとおわかれする合図あいずかな。それとも、ごんがどこかできてる合図あいずかな」 とおりのみにれる
「ごんは、兵十ひょうじゅうのおかあさんがうなぎをべたがってたって、どこでったんだろう?」 おもいこみにづく
「かすりきずなのに、どうして『ぶんなぐられた』とおもったのかな」 想像そうぞう事実じじつのちがいにづく
「このおはなし最初さいしょにだれがはなしたんだとおもう?」 かた存在そんざいづく

くときのコツ

さきこたえをわないこと。 これにきます。

大人おとなが「あおけむりはね、たましいあらわしているんだよ」とおしえた瞬間しゅんかん、その読書どくしょわります。「へえ」でわって、二度にどかんがえません。

かわりに、「どうしてそうおもったの?」かえしてみてください。どもは、自分じぶんでもづいていなかった理由りゆうを、しゃべりながらつけていきます。

うまくこたえられなくても、まったく問題もんだいありません。**「わからないね」でわる会話かいわにも意味いみがあります。**からないままかえったいは、しばらくしてから、ふともどってくることがあります。


おわりに

『ごんぎつね』は、かなしいおはなしです。それは間違まちがいありません。

けれど「かわいそうだったね」だけでじてしまうには、あまりにおおくのものがまれています。いろおもいこみ、かたぎ、そして最後さいごあおけむり

**ごんのあおいひかりは、兵十ひょうじゅうこころのこりました。**そして、んだひとこころにものこります。だからこの物語ものがたりは、ひゃくねんちかかたがれてきたのだとおもいます。

さんが、おもいもよらないかたかえしてくれたら——ぜひ、そのままいてあげてください。それは、大人おとな用意よういしたこたえよりずっと価値かちがあります。


この記事きじは、YouTube「おわか文庫ぶんこ」の考察こうさつ動画どうがをもとにいています。ミアとハルンの会話かいわきたいほうは、動画どうがのほうもどうぞぜん4かいで、ごんのきた時代じだいからこのあおけむりまでをたどっています。

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