ジャック・オー・ランタンの由来とは?──悪魔を二度だました男と、カブがカボチャになった理由
▶ YouTubeで見る知られざるハロウィンの真実:悪魔を騙した男の結末【ジャック・オー・ランタンの由来】ハロウィンといえば、仮装をして、お菓子をもらうお祭りです。
家の窓辺や玄関には、怖い顔を彫ったカボチャのランタンが並びます。ろうそくの火に照らされて、にやりと笑っているように見えるあのカボチャです。
けれど、あのカボチャがなぜ「ジャック・オー・ランタン」と呼ばれるのか、知っていますか。
その名前の向こうには、アイルランドに伝わる、ひとりの男の物語があります。悪魔を二度もだましたのに、天国にも地獄にも行けなくなってしまった男の物語です。
ハロウィンは、何のお祭りだったのか

ハロウィンの始まりは、ずっと昔のヨーロッパにあります。
昔の人たちは、秋の収穫が終わって、冬を迎えるころにお祭りをしていました。この季節には、死んだ人の魂や、不思議なものが人間の世界にやってくると信じられていたのです。
そこで人々は、おばけの仲間のふりをして身を守ろうとしました。これが、仮装の始まりの一つとも言われています。仮装は、ただ楽しむためだけのものではなかったのですね。
その後、ハロウィンはキリスト教のお祭りとも結びつき、長い時間をかけて、今の形になっていきました。
では、あの怖い顔のカボチャは、どこから来たのでしょうか。
悪魔を二度だましたジャック

むかしむかし、アイルランドに、ジャックという男がいました。お酒が大好きで、いたずら好き。おまけに、とてもけちんぼだったといいます。
ある日、ジャックの前に、恐ろしい悪魔が現れました。ところがジャックは、怖がるどころか、悪魔を「一緒にお酒を飲もう」と誘ったのです。
けれど、けちんぼのジャックは、お酒のお金を払いたくありません。そこで悪魔に「おまえは何にでも姿を変えられるんだろう? だったら、銀貨に化けてみろよ」と言いました。
悪魔が銀貨に変身すると、ジャックはすばやく、その銀貨を財布にしまってしまいます。財布の中には、銀の十字架が入っていました。十字架の力で、悪魔は元の姿に戻れなくなってしまったのです。
ジャックは「一年間、おれに手を出さないと約束しろ」と言い、悪魔はしかたなく約束して、ようやく自由になりました。
一年後、悪魔は「今度こそ、おまえの魂をもらいに来た」と、ふたたびジャックの前に現れます。ジャックは「最後に、あの木の実を食べたい」と頼み、悪魔が木に登ったすきに、木の幹に十字架を刻みました。悪魔は、また木から降りられなくなってしまいます。
ジャックが出した約束は、二つでした。十年間、手を出さないこと。そして、ジャックが死んでも、その魂を地獄へ連れていかないこと。悪魔はしぶしぶ約束して、木から降ろしてもらいました。
悪魔よりもずる賢いジャック。けれど、このときの約束が、あとで大変なことになるのです。
なぜジャックは、どこへも行けなくなったのか

それからしばらくして、ジャックは命を落としました。
ジャックは天国へ向かいます。けれど、生きている間に悪いことばかりしていたので、天国には入れてもらえませんでした。
それなら地獄へ、と向かうと、地獄の入口にはあの悪魔がいました。悪魔は言います。「おまえの魂は地獄へ連れていかない。そう約束したはずだ」
天国にも、地獄にも行けない。ジャックには、もう行く場所がなくなってしまったのです。
自分を守るために悪魔とかわした約束が、最後には、自分の行き場をなくしてしまいました。悪魔をだましたはずのジャックは、いったい何に負けたのでしょうか。
あたりは真っ暗です。ジャックは悪魔に「せめて、暗い道を歩くための明かりを一つくれないか」と頼みました。悪魔は、地獄の炎から燃える炭を一つ、ジャックに渡します。ジャックはその炭を、くり抜いたカブに入れて、ランタンを作りました。
こうしてジャックは、小さなランタンを手に、真っ暗な世界を歩き始めます。そして今も、どこへも行けないまま、さまよい続けていると伝えられています。
ランタンを持つジャック。人々は、彼を「ジャック・オー・ランタン」と呼ぶようになりました。
カブがカボチャになった理由

ここで、ひとつ気になることがあります。ジャックが持っていたのは、カボチャではなく、カブでした。
実は、昔のアイルランドでは、カブをくり抜いてランタンを作っていました。カブに怖い顔を彫って、悪いものを追い払おうとしていたのです。
やがて、その風習がアメリカに伝わりました。アメリカでは、大きくて彫りやすいカボチャが使われるようになります。こうして、今のカボチャのランタンが生まれました。
あの怖い顔は、人をこわがらせるためではなく、悪いものを近づけないための顔だったのですね。
小さな明かりが照らすもの

ジャックの物語は、ずる賢さで悪魔に勝った話のようにも見えます。けれど最後に残ったのは、真っ暗な道と、手の中の小さな明かりだけでした。
それでもジャックは、その明かりを手に、歩き続けています。
ハロウィンの夜、窓辺に並ぶカボチャのランタン。その一つひとつに、行き場をなくした男の物語と、暗い夜から身を守ろうとした人々の願いが重なっていると思うと、少し違って見えてくるかもしれません。
今年のハロウィン、あなたはカボチャのランタンを見て、何を思い出すでしょうか。
考えてみたい問い
| 問い | 考えられること |
|---|---|
| ジャックは、なぜ悪魔をだまそうとしたのだろう | 自分を守るための知恵と、ずる賢さの違い |
| 自分を守るためにした約束が、なぜ最後にジャックを困らせたのだろう | 目の前の得と、あとから返ってくること |
| ジャックは、暗い道でなぜ「明かり」を頼んだのだろう | 行き場をなくしたときに、人が求めるもの |
| ランタンの怖い顔には、どんな願いが込められているだろう | 暗い夜や悪いものから、家や家族を守りたい気持ち |
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