『100万回生きたねこ』なぜ、ねこは最後に生き返らなかったのか
▶ YouTubeで見る百万回生きたねこ|ラストに込められた本当のメッセージは!?『100万回生きたねこ』のねこは、100万回死んで、100万回生きました。
それだけ聞くと、とてもすごい力を持ったねこに思えます。けれど、物語を読むと、ねこは長いあいだ幸せそうには見えません。
そして白いねこと出会った最後の一生で、ねこは初めて泣き、もう生き返りませんでした。
なぜ、100万回も生きたねこは、最後に生き返らなかったのでしょうか。
何度も生き返れたのに、ねこは泣かなかった

ねこには、王さまや船乗り、手品使いなど、たくさんの飼い主がいました。飼い主たちは、ねこが死ぬたびに泣きます。
けれど、ねこは一度も泣きません。自分が死ぬことも、飼い主が悲しむことも、ねこにとっては大きな出来事ではなかったようです。
ねこがいちばん好きだったのは、自分でした。自分以外のだれかを大切にすることがなかったから、失うことの悲しさも知らなかったのかもしれません。
「何度でもやり直せる」人生

ねこは死んでも、また別のねことして生まれ変わります。
だから、ねこにとって一つひとつの人生は、終わってしまったら取り返しがつかないものではありませんでした。何度でも次があるなら、今このときを大切にする必要も、あまり感じなかったのかもしれません。
何度も生きられることは、自由で楽しいことにも見えます。けれど、失うものがなければ、心から大切にしたいものも生まれにくいのかもしれません。
白いねこは、ねこを変えようとしない

野良ねこになったねこは、白いねこに出会います。ねこは、自分が100万回生きたことを自慢します。
けれど白いねこは、ねこをほめたり、おどろいたりしません。ただ「そう」と言うだけです。
白いねこは、ねこに何かを教えようとしたわけでも、変えようとしたわけでもありません。それでも、ねこは白いねこと一緒にいるうちに、初めて自分以外の相手を大切に思うようになります。
初めて泣いたとき、ねこは本気で生きていた

白いねこが死んだとき、ねこは初めて泣きます。
泣いたのは、白いねこが自分にとって、取りかえのつかない大切な存在になっていたからです。何度でも生き返れるねこにとっても、白いねこと過ごした時間は、同じものをもう一度手に入れられる時間ではありませんでした。
悲しさを知ることは、つらいことです。でも、悲しいと思えるほど大切にした相手がいたことでもあります。
生き返らなかったことは、終わりだけを意味しない

白いねこのあと、ねこは静かに死に、もう生き返りません。
これは、ねこが何かを失って終わったというだけではないのかもしれません。100万回の人生では、自分だけのために生きていたねこが、最後の一生では、だれかと一緒に生きました。
何度もやり直せる人生よりも、たった一度でも、本気で好きになり、本気で悲しむ人生。その一度があったから、ねこはもう生き返る必要がなかった、と読むこともできます。
考えてみたい問い
| 問い | 考える手がかり |
|---|---|
| ねこは、なぜ100万回も生き返れたのだろう? | ねこが何を大切にしていたかを考える |
| 白いねこは、どうしてねこを変えられたのだろう? | 白いねこがしたこと、しなかったことに注目する |
| ねこが初めて泣いたのは、どんな気持ちからだろう? | 泣かなかった以前のねこと比べる |
| ねこが生き返らなかったラストを、どう思う? | 「終わり」と「本当に生きること」を考える |
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