『銀河鉄道の夜』銀河鉄道は、どこへ向かう列車だったのか
▶ YouTubeで見る【6分でわかる】銀河鉄道の夜【ジョバンニとカムパンネルラの最後の旅】『銀河鉄道の夜』は、ジョバンニとカムパネルラが、星の中を走る列車に乗る物語です。
けれど、この列車には、はっきりした終点が書かれていません。旅の中で出会う人たちの言葉と、二人がたどり着く別れの場面から、その行き先を考えてみます。
ひとりぼっちのジョバンニが、列車に乗るまで

ジョバンニは、病気のお母さんと暮らしながら、学校が終わると働いています。遠くへ出たまま帰らないお父さんのことでからかわれ、ケンタウル祭の夜も、ひとりで丘へ走っていきました。
草の上で星空を見上げていると、「銀河ステーション」という声が聞こえます。気がつくと、ジョバンニは銀河を走る小さな列車の中にいました。
向かいの席には、昔はよく遊んだカムパネルラが座っています。二人は、光る天の川や宝石のような河原を眺めながら、列車の旅を始めます。
途中から乗ってきた人たち

旅の途中、若い青年と、小さな姉弟が列車に乗ってきます。三人は、乗っていた船が氷山にぶつかって沈み、海に投げ出されたあとで、この列車にいたと話します。
そして、先に亡くなったお母さんのいる天国へ向かっていると言います。
この話を聞くと、銀河鉄道はただ美しい景色を見るための列車ではないように見えてきます。そこには、もう生きている世界には戻れない人たちも乗っているのです。
駅で別れを告げる人たち

列車は、大きな十字架が輝く駅に止まります。青年と姉弟は、ジョバンニたちに「さよなら」を言って、列車を降ります。
三人にとっては、そこが向かう場所だったのでしょう。ジョバンニは、別れを告げる三人を見送ることができました。
銀河鉄道は、みんなを同じ場所へ運ぶ列車ではないのかもしれません。一人ひとりが、それぞれの行くべき場所へ向かう列車だと考えることができます。
カムパネルラだけが、消えてしまう

三人が降りたあと、ジョバンニはカムパネルラと、どこまでも一緒に行こうとします。けれど、ジョバンニが振り返ると、カムパネルラはいなくなっていました。
カムパネルラは駅で降りたのではありません。走る列車の中から、さよならも言わずに消えました。
その直後、ジョバンニは現実の丘で目を覚まします。そして町へ戻ると、カムパネルラが川に落ちたザネリを助け、戻ってこなかったことを知ります。
二人の旅は、ずっと一緒にいるための旅ではなく、別々の世界へ進む前の、最後の旅だったのかもしれません。
ジョバンニは、生きている世界へ戻る

カムパネルラが、お母さんのいる場所へ向かったように見える一方で、ジョバンニは、病気のお母さんが待つ家へ走り出します。
ジョバンニが抱えている牛乳は、まだ温かいままです。銀河鉄道の不思議な旅を終えたあとも、ジョバンニには、今いる世界でしなければならないことがあります。
『銀河鉄道の夜』は、美しい宇宙の物語であると同時に、大切な人と別れ、自分の世界へ戻る物語でもあります。
考えてみたい問い
| 問い | 考える手がかり |
|---|---|
| 銀河鉄道は、どこへ向かう列車だったと思う? | 乗客たちがどこで、どのように降りたかをたどる |
| カムパネルラとジョバンニは、なぜ同じ場所へ行けなかったのだろう? | 二人に見えていたものと、戻る場所を比べる |
| ジョバンニは、なぜ牛乳を持って家へ走ったのだろう? | 旅のあとに待っている現実を考える |
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