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3・4年生の音読の宿題──ミッションで、ゲーム感覚に変える

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おわか文庫ぶんこの研究けんきゅう室しつに、こんな相談そうだんが届とどきました。

「三さん年生ねんせいになってから、音読おんどくをいやがるようになりました。どう声こえをかければいいのか分わかりません」

前回ぜんかいは、一いち年生ねんせい・二に年生ねんせいの音読おんどくに、大人おとながどう伴走ばんそうするかというお話はなしをしました。

今回こんかいは、三さん年生ねんせい・四よん年生ねんせいの音読おんどくについて考かんがえていきます。

中学年ちゅうがくねんの音読おんどくは、ミッションをつくって、ゲーム感覚かんかくで取とり組くむのがおすすめです。ポイントは三みっつです。

  1. 読よむ前まえに、今日きょうのミッションを一ひとつ決きめること
  2. そのミッションを、毎日まいにち変かえること
  3. ミッションを、大人おとなだけで決きめないこと

毎日まいにちの音読おんどくを、ゲームに変かえていきましょう。


第だい一いち章しょう 中学年ちゅうがくねんで、音読おんどくが「作業さぎょう」になる理由りゆう

この時期じきには、こんなことがよく起おきます。

  • 一人ひとりで読よめるようになって、となりで聞きいてもらえなくなる
  • 同おなじお話はなしを、何なん日にちも読よむ
  • 上手じょうずに読よめるようになったのに、ほめられることは減へっていく

そのうえ、音読おんどくで目指めざすことも変かわります。

学年がくねん 音読おんどくで大切たいせつにすること(学習がくしゅう指導しどう要領ようりょう)
一いち年生ねんせい・二に年生ねんせい 「語ごのまとまりや言葉ことばの響ひびきなどに気きを付つけて音読おんどくすること」
三さん年生ねんせい・四よん年生ねんせい 「文章ぶんしょう全体ぜんたいの構成こうせいや内容ないようの大体だいたいを意識いしきしながら音読おんどくすること」

学習がくしゅう指導しどう要領ようりょうの解説かいせつには、文章ぶんしょう全体ぜんたいとして何なにが書かかれているのかを捉とらえたり、登場とうじょう人物じんぶつの行動こうどうや気持きもちの変化へんかなどを大筋おおすじで捉とらえたりしながら音読おんどくすることが示しめされています。

つまり、中学年ちゅうがくねんで大切たいせつになるのは、ただ、すらすら読よむことではありません。お話はなしを分わかって読よむことです。

読よむ力ちからについて研究けんきゅうしている髙橋麻衣子たかはしまいこさんは、読解どっかいの指導しどうが最後さいごに目指めざすのは、黙読もくどくで読よんで分わかるようになることだと述のべ、音読おんどくから黙読もくどくへどう移うつっていくのか、その道筋みちすじを研究けんきゅうしています。

子こどもは文章ぶんしょうを読よむとき、文字もじを追おうことにも、内容ないようを考かんがえることにも、頭あたまを使つかいます。だから、読よむことが楽らくになるほど、お話はなしについて考かんがえる余裕よゆうも生うまれてきます。中学年ちゅうがくねんの音読おんどくは、ちょうどその途中とちゅうにあります。

ところが、この道筋みちすじは、子こどもには見みえません。何なにを目指めざして読よめばいいのか分わからないまま、同おなじお話はなしを何なん日にちも声こえに出だす。それでは、音読おんどくが「練習れんしゅう」ではなく、ただの「作業さぎょう」になってしまいます。


第だい二に章しょう 読よむ前まえに、今日きょうのミッションを決きめる

音読おんどくカードには、「めあて」を書かく欄らんがよくあります。中学年ちゅうがくねんでは、これを今日きょうのミッションと呼よびかえます。

読よむ前まえに、一ひとつだけ決きめます。たとえば、

  • 「一回いっかいも間違まちがえずに、最後さいごまで読よむ」
  • 「会話かいわのところは、その人ひとになりきって読よむ」
  • 「読よんだあとに、どんな話はなしか、一言ひとことで言いえたら勝かち」

一言ひとことは、これくらいで十分じゅうぶんです。

「きつねが、いたずらをして、後悔こうかいする話はなし」

毎日まいにちの一回いっかいが、退屈たいくつなくり返かえしではなく、今日きょうの挑戦ちょうせんになります。

大事だいじなのは、これを読よむ前まえに決きめておくことです。子こどもは、読よむことと内容ないようを考かんがえることの両方りょうほうに頭あたまを使つかいます。だから先さきに、

「今日きょうは、これをやる」

と決きめておきます。


第だい三さん章しょう そのミッションを、毎日まいにち変かえる

音読おんどくの宿題しゅくだいでは、同おなじお話はなしを何なん日にちも読よみます。

実じつは、同おなじ文章ぶんしょうを繰くり返かえして読よむことには、ちゃんと意味いみがあります。

アメリカでは、ナショナル・リーディング・パネルという専門せんもん家かチームが、読よむ力ちからについてたくさんの研究けんきゅうをまとめています。その中なかで効果こうかが確たしかめられた方法ほうほうの一ひとつが、大人おとなや先生せんせい、友達ともだちなどから助言じょげんをもらいながら、同おなじ文章ぶんしょうを繰くり返かえし声ごえに出だして読よむことです。

こうした読よみ方かたでは、言葉ことばを正確せいかくに読よむ力ちからだけでなく、すらすら読よむ力ちからや、内容ないようを理解りかいする力ちからにも効果こうかがありました。読よむことにつまずきのない子こどもでは、少すくなくとも四よん年生ねんせいまで、はっきりした効果こうかが確たしかめられています。

つまり、同おなじお話はなしを何なん度ども読よむことそのものが、悪わるいわけではありません。

だったら、変かえるのは、お話はなしではなく、今日きょうのミッションです。

日ひ 今日きょうのミッション
一いち日にち目め 間違まちがえずに読よむ
二に日にち目め 点てんのところで、必かならず止とまる
三さん日にち目め 会話かいわを、その人ひとになりきって読よむ
四よん日にち目め どんな話はなしだったか、一言ひとことで言いう

お話はなしは同おなじ。でも、今日きょうの挑戦ちょうせんは毎日まいにち違ちがう。これなら、昨日きのうと同おなじ音読おんどくにはなりません。


第だい四よん章しょう ミッションを、大人おとなだけで決きめない

このミッションを、大人おとなだけで決きめないでください。

最初さいしょは、二ふたつ出だして、選えらんでもらうだけで十分じゅうぶんです。

「点てんで止とまるか、なりきって読よむか、どっちにする?」

二ふたつのうちからでも、選えらんだのは本人ほんにんです。慣なれてきたら、こう聞ききます。

「今日きょうのミッション、なににする?」

思おもいつかない日ひは、また二ふたつ出だせば大丈夫だいじょうぶです。音読おんどくカードのめあて欄らんも、本人ほんにんに書かいてもらいます。

読よみ終おわったあとに返かえす言葉ことばも、一ひとつでいいです。決きめたミッションが、できたかどうか。

「今日きょうは、一回いっかいも止とまらなかったね」

これだけなら、ずっと横よこに座すわっていなくても言いえます。台所だいどころで手てを動うごかしながらで構かまいません。聞きき逃のがしていたら、

「今日きょうのミッション、どうだった?」

と聞ききます。できなかった日ひは、

「じゃあ、明日あしたもう一回いっかいやってみる?」

それで、明日あしたのミッションが決きまります。

つっかえたところを、その場ばで全部ぜんぶ直なおす必要ひつようはありません。今日きょうのミッションが一ひとつできた。それなら、今日きょうの音読おんどくは成功せいこうです。


研究けんきゅう結果けっか

最後さいごに、今日きょうわかったことをまとめます。

  1. 読よむ前まえに、今日きょうのミッションを一ひとつ決きめる。
  2. そのミッションを、毎日まいにち変かえる。 同おなじお話はなしでも、毎日まいにちちがう挑戦ちょうせんになります。
  3. ミッションを、大人おとなだけで決きめない。 最初さいしょは二ふたつから選えらんでもらい、少すこしずつ本人ほんにんにまかせます。

中学年ちゅうがくねんは、決きめる役やくを、少すこしずつ子こどもにわたしていく時期じきです。自分じぶんで決きめる。自分じぶんで読よむ。そして、できたかどうかを自分じぶんで考かんがえる。毎日まいにちの数すう分ふんが、少すこしずつ、自分じぶんの力ちからで読よむことにつながっていきます。その先さきには、高学年こうがくねんの黙読もくどくがあります。

大人おとながすることは、うまく読よませることではありません。毎日まいにちの一回いっかいを、今日きょうの挑戦ちょうせんに変かえてあげることです。

なお、ここでお話はなししたのは、家庭かていで音読おんどくを聞きくときの見方みかたです。文字もじを読よむこと自体じたいに強つよい困こまりごとがありそうなときは、学校がっこうの先生せんせいや、読よみの専門せんもん機関きかんに相談そうだんしてみてください。


今日きょうのミッション 10のアイデア

同おなじお話はなしでも、ミッションを変かえれば毎日まいにちちがう挑戦ちょうせんになります。読よむ前まえに、お子こさんと一緒いっしょに一ひとつ選えらんでみてください。

声こえに出だして読よむミッション

  1. 一回いっかいも間違まちがえずに、最後さいごまで読よむ
  2. 同おなじところを3回かい読よんで、1回かい目めよりなめらかに読よむ
  3. 読よむのにかかった時間じかんと、つっかえた回数かいすうを記録きろくして、前まえの日ひの自分じぶんと比くらべる
  4. 点てんと丸まるのところで、ひと息いきついて読よむ
  5. 会話かいわのところは、その人ひとになりきって読よむ
  6. おうちの人ひとと、1文ぶんずつ交代こうたいで読よむ

お話はなしが分わかるミッション

  1. 読よむ前まえに、題名だいめいや絵えから、どんなお話はなしか予想よそうする
  2. 読よんだあとに、どんなお話はなしだったか一言いちげんで言いう
  3. 読よんだあとに、おうちの人ひとにお話はなしのクイズを1問もん出だす
  4. いちばん心こころに残のこった場面ばめんを、頭あたまの中なかに思おもいうかべて、言葉ことばで話はなす

参考さんこうにした資料しりょう

  • 文部もんぶ科学かがく省しょう『小学校しょうがっこう学習がくしゅう指導しどう要領ようりょう(平成へいせい29年ねん告示こくじ)』第だい1学年がくねん及および第だい2学年がくねん・第だい3学年がくねん及および第だい4学年がくねん〔知識ちしき及および技能ぎのう〕(1)ク
  • 文部もんぶ科学かがく省しょう『小学校しょうがっこう学習がくしゅう指導しどう要領ようりょう(平成へいせい29年ねん告示こくじ)解説かいせつ 国語こくご編へん』84ページ
  • 髙橋麻衣子たかはしまいこ(2013)「人ひとはなぜ音読おんどくをするのか──読よみ能力のうりょくの発達はったつにおける音読おんどくの役割やくわり──」『教育きょういく心理しんり学がく研究けんきゅう』61巻かん1号ごう、95〜111ページ
  • National Reading Panel (2000). Teaching Children to Read, Chapter 3: Fluency.

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